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「生理痛」座談会〜生理痛は病気!? 先生に聞いてみました〜

生理痛について、先生にお聞きしました

Q 生理痛は病気なのですか?


お答えいただいた先生
レディースクリニック市ヶ尾
高橋院長先生

先生:
ほかの病気が見つかれば、その病気だと診断されますが、生理痛だけの診断基準というものはまだできていません。昼間、生理痛のせいで普通の生活が送れないのであれば、病気だと考えてもいいでしょう。痛くてもなんとかいつもどおり過ごせる場合は、基本的には病気だとは考えなくても良いです。注意が必要なのは、いつもの生理痛だと思い込んでいたら、実は月経困難症や子宮内膜症などの病気だったというケースです。
リナ:
気づかないうちに病気になっている可能性もあるんですね。油断しないように気をつけます。
月経痛を主訴とする疾患別推定受療患者率

グラフ:月経痛を主訴とする疾患別推定受療患者率

Q 月経困難症とはどんな病気ですか?


「痛みが和らぐと聞いて少し安心」

先生:
月経困難症というのは、生理に伴って疲労感や脱力感、眠気などのさまざまな症状が起こる病気で、大きく分けると2種類があります。1つは機能性(原発性)月経困難症で、これは原因となる病気がなく、生理になったらとにかく痛いというもの。若い人で、成長に伴ってだんだん痛みが軽くなってきたという場合は、これである可能性がありますね。
クリ:
成長に伴い痛みが和らぐと聞くと、少し安心です。
先生:
ストレスで痛くなることもあります。会社に入って忙しくなったら痛みが強くなり、仕事を辞めてゆっくりと過ごすようになったら軽くなったという人は、けっこう多いですよ。
年代別 生理痛の有無とその程度

グラフ:年代別 生理痛の有無


グラフ:年代別 生理痛の頻度

先生:
もう1つの器質性(続発性)月経困難症というのは、原因となる病気があり、それによって生理痛がひどくなるというものです。

Q 器質性(続発性)月経困難症について教えて下さい。

先生:
器質性月経困難症を引き起こす病気はいくつかありますが、一番多いのは子宮内膜症ですね。それと、その子宮内膜症が子宮の筋肉にできる子宮腺筋症。それほど多くはありませんが、子宮の筋肉に腫瘍ができる子宮筋腫も、子宮の出口近くにできると血が出にくくなり、子宮の収縮が強くなって痛むことがあります。
また、クラミジア感染症や性感染症による骨盤内炎症も、原因となる病気のひとつです。性交痛がある方は、この骨盤内炎症を起こしている可能性があるので、注意してください。そのほかに、骨盤内の血液の流れが悪くなる骨盤内うっ血でも痛くなります。

痛みだけではない! 子宮内膜症の症状

Q 子宮内膜症とはどんな病気ですか?

先生:
まず子宮の内膜についてですが、これは生理のときに厚くなって、妊娠したときに赤ちゃんのベッドになります。妊娠していなければ必要はないので、出血して全部流れていきます。原因は不明ですが、この内膜が子宮の筋肉の中や子宮のまわり、卵巣などにできることがあり、生理のたびに起きる出血が刺激となって炎症が起きてしまいます。これが子宮内膜症です。生理痛のほかに、お通じや性行為のときに痛くなることもあります。

図:子宮の構造と子宮内膜症

Q 子宮内膜症とはどんな病気ですか?

先生:
痛みがないこともあります。一番困るのが、痛みがないため子宮内膜症に気づかないこと。卵巣の中にできた内膜は出て行く場所がないため、治療をしないと卵巣がどんどん腫れていくわけですね。本来は親指の先ほどの卵巣が、10cmほどになってしまうこともあります。さらに、これがお腹の中で破裂すると、緊急手術が必要な事態になってしまいます。
痛み止めは痛みは消してくれるのですが、痛みを起こしている原因まで治してくれるわけではありません。痛みを抑えたその裏で、子宮内膜症が静かに進行してしまっていることもあります。やはり一度は専門家である婦人科医に診てもらった方が良いですね。

Q そのほかに子宮内膜症による影響はありますか?

先生:
不妊症になることがあります。不妊症の30〜40%は子宮内膜症が原因だとされていますね。現代の女性は、過去と比べて子宮内膜症の女性が増えているといわれています。
アヤ:
卵巣が腫れたり不妊症になったり、子宮内膜症は恐い病気なんですね。今まで知りませんでした。

婦人科の先生の視点から現代の女性を見ると……

Q なぜ子宮内膜症の女性が増えているのですか?


「知らなかったことばかりです」

先生:
昔の女性は子どもをたくさん産んだため、妊娠や授乳といった生理のない期間が何度もあって、一生の間の月経の回数は約50回。それに対して、現代の女性は出産の回数が少なく、妊娠や授乳の期間が短くなって、一生の月経回数は昔の約9倍で約450回。その分、女性ホルモンにさらされる期間が長くなり、卵巣がんや子宮体がん、子宮内膜症などが起きやすくなります。

Q 現代の女性は、昔よりも若く見える方が多いですが……

先生:
お化粧や豊かな食生活のおかげで外見が若くても、50歳ぐらいで閉経を迎えるということは、昔の女性と比べても変わりません。いくら若く見えても、お腹の中の子宮や卵巣は年相応だといえるでしょう。
女性の生殖パターンの変化

現代女性はむかしの人に比べて、女性ホルモンにさらされる時間が長い(約9倍)

グラフ:女性の生殖パターンの変化

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