JR大阪駅から大阪環状線で15分、JR鶴橋駅に到着します。鶴橋駅は、JR西日本の大阪環状線、近畿日本鉄道の各線、大阪市交通局の大阪市営地下鉄千日前線が乗り入れ、1日およそ15万人以上が利用するターミナル駅です。
　そもそも鶴橋という地名は、かつての百済川、のちに平野川と呼ばれた川に、4世紀頃にかけられた「つるのはし」に由来しているそうです。日本最古の橋ともいわれており、日本書紀の仁徳天皇14年の条に「為橋於猪甘津即号其処曰小橋也」と記述があります。この「小橋」が後に、鶴がよく集まったことから「つるのはし」と呼ばれるようになったそうです。
　かつての百済川という名前からも分かる通り、昔から百済をルーツとする当時の渡来人に大きく関わりのあった土地だそうです。現在でも鶴橋駅の周辺には、生野コリアタウンと呼ばれるエリアが広がり、多くの焼き肉店や韓国料理店が軒を連ねています。大阪でも屈指の焼き肉の街です。
　今回は、鶴橋駅から徒歩2分、千日前通りに面したビルの1階にある、ちかえレディースクリニックの田所先生にお話をうかがいました。

田所千加枝
（たどころ　ちかえ）先生
大阪医科大学卒業後、大阪大学医学部大学院修了し、大阪大学医学部産婦人科へ入局。
中津済生会病院産婦人科、大阪大学医学部附属病院産婦人科勤務、大阪労災病院産婦人科医長を経て、2001年ちかえレディースクリニックを開院。

ちかえレディースクリニックには、大阪市内を始め、奈良県や三重県伊勢市など、とても遠方からの患者さんも多くいらっしゃるそうです。田所先生がこの地に開業しておよそ10年、現在では1日60〜70名の患者さんが受診されておられます。患者さんの年代として多いのは30歳〜40歳代の方だそうですが、10歳前後から70歳前後の方まで幅広く、患者さんの口コミで受診される方も多いそうです。「口コミ、例えば友人から『あの先生は良いよ』と聞いてきたとか、お母様が患者さんでその娘さんも一緒に来られた場合は、最初から信頼関係ができやすいので、患者さん自身もたくさんのことを話してくれます」（田所先生）。

実際に田所先生にお話をうかがっていると、どんどん会話に引き込まれていきます。先生ご自身が、とても話上手で聞き上手なのです。そんな田所先生に、生理痛（月経痛）治療についてうかがいました。「生理（月経）は赤ちゃんをキレイなベッドに迎え入れるために、毎月ふかふかのベッドを用意し、赤ちゃんが来なければ一旦リセットする、その過程で起きていることなのです。生理には、痛みがあって当然なのです。重要なのは、その痛みとどう付き合っていくかです。もちろん我慢するものでは全くありませんので、私は手軽に、自分でできる付き合い方を示します。そのうちどの方法を選択するかは、患者さんご自身なのです」（田所先生）。

そんな田所先生が示してくださる方法の一つ目は、生活習慣の改善です。体を冷やすような服装をしないこと、運動すること、腹部や腰を温めること、シャワーだけではなくきちんと浴槽に浸かることなどです。それでも改善しない場合は「まずは1サイクル、1日3回3日間、普段使っている市販の痛み止めを飲んでもらいます。ポイントは、痛み始める前に飲むことです。痛みが強くなってからでは、痛み止めは効かなくなります」（田所先生）。中には鎮痛効果が得られず、1日4回以上服用してしまう場合もあります。その場合は、漢方薬の処方や低用量ピルなどでの治療へとステップアップされるそうです。

患者さん自身が成人している場合は本人との話し合いなのですが、中高生や未成年の場合は母親世代への啓蒙も必要だとおっしゃいます。「母親世代には、痛み止めに対して、癖になると身体によくないと考えている方が多くいらっしゃいます。低用量ピルはホルモン剤ですので、更に敬遠する方もいらっしゃいます。ですが、現代の女子は、学校の試験も入学試験も、クラブ活動での試合でも、みんな男子と同じだけ頑張る必要があります。最近のピルは、安全性も高く、副作用も少ない、良い薬になってきました。少しでも楽に付き合える方法として、受け入れてほしいと思います」（田所先生）。

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