HOME > ドクターインタビュー > さくら女性クリニック 土橋義房先生

ドクターへの質問

Q. どの程度の生理痛であれば治療を受けた方が良いのでしょうか?

A.生理の時に生理痛によって生活に支障をきたしていないかどうかが一つの目安になると思います。例えば、私は来院した患者さんには、小中学生、高校生であれば、「生理のとき休まずに学校に行けている? 体育の授業は受けられる? 保健室に駆け込んで授業が受けられないようなことはない?」と生理痛について問いかけていますが、もし、そういうことがある場合には無理をせずに早めに治療しましょう。
OLの方も同様です。生理のときに仕事を休んでしまう、痛み止めを飲んでもガマンできない場合などは受診しましょう。痛み止めが効かないほど生理痛がひどくても「こんなものかしら」とガマンし続けている方も少なくありません。ですが、痛みは体からのサインです。痛いのであれば、一度は受診してもらいたいと思います。その背後に、何か病気が隠れている可能性もありますので、ほんの少し勇気を出して早めに受診してください。


Q. 生理痛を感じる月、感じない月があります。そういう場合も受診すべきでしょうか?

A.このようなケースでは冷え症や精神的ストレスなどの可能性もありますし、場合によっては無排卵性月経、つまり正常な排卵ができていないために生理痛が来なかった可能性もあります。あとPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)なども可能性として否定できないかもしれません。カウンセリングも含めてぜひ来院していただきたいと思います。


Q. 子宮内膜症の生理痛治療に低用量ピルを処方されたのですが、以前から服用している肝斑のお薬に、「ピルを服用していると肝斑になりやすい」とありました。これは本当でしょうか?

A.高用量ピルの時代には、シミの一種である肝斑が副作用として指摘されたこともありますが、低用量ピルになってからはピルを飲んだ副作用としての肝斑が出たという報告はありません。妊娠時に見られることのある皮膚の黒ずみと、ピル服用時にまれに起こることのある皮膚の変化が同じものと考えられたために、こうした皮膚の変化が性ホルモンの影響だとされていますが、そのメカニズムの実際は分かっておらず、黒ずみの原因とされるメラニン色素と性ホルモンの関係も分かっていません。
美容整形の領域では、低用量ピルと肝斑を過去の少数の観察結果によって結び付けていることもあるようですが、実際に両者の関係に科学的な根拠は出ていません。

土橋先生からのメッセージ

生理痛がある方は、ガマンせずにぜひ一度婦人科を受診してください。生理痛はあるのが当たり前のことではなく、その人のQOL(生活の質)を下げ、ひいては社会的にも労働力や経済的な損失にもつながる立派な病気です。また、生理痛を引き起こす子宮内膜症は、将来の不妊症や卵巣がんにつながるおそれもありますから、ガマンせず早めに受診していただくことが大切になります。
娘さんを持つお母さんの中には、ご自身が生理痛をガマンしてきた経験があると、お子さんにも薬も病院も必要ないと思い込んでしまうケースもあるようですが、生理痛はガマンする必要はありません。ぜひ、早めに婦人科を受診して治療を受けてください。

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