HOME > ドクターインタビュー > 可世木病院 可世木成明先生

子宮内膜症の卒業を見届けたい

妊婦診察室の前に設けられたキッズルーム。産科を併設している同院には、小さいお子さんを連れながら2人目、3人目のお子さんを産みに来るお母さんも多くいます。そこで、ディズニーのぬいぐるみ、おもちゃなどをたくさん置いた専用スペースを設置し、診察の間、上のお子さんが遊びながら待っていられるよう工夫しています。

不妊治療で有名な可世木先生。ですから不妊と関連の高い子宮内膜症は全力で治療されます。

これまで数多くの患者さんをみておられますが、そのなかでも特に可世木先生の記憶に残っている患者さんがおられるそうです。
子宮内膜症に伴う月経困難症で大学生の頃からひどい痛みを訴えて治療に通っている方でした。左右両側の卵巣にかなり大きなチョコレートのう胞があり、ひどい痛みに苦しんでいましたね。当時使える治療薬ではなかなか症状が改善しなかったため、腹腔鏡(腹部に挿入して体内を観察したり、観察しながら手術ができる内視鏡の一種)を用いてお腹をメスで切らず(開腹せず)にチョコレートのう胞を取り出す手術を行いました。かなり良くなられましたが、その後も痛みなどの症状が続いたため超音波画像を見ながら膣からチョコレートのう胞に直接針を刺し、その中身を吸い出す穿刺とよばれる治療方法を2回行いました。しかし、これも一時的に症状が良くなるだけでした。
その後、患者さんが結婚されたのを機に『今度こそ徹底的に治したい』と決意されたため最終手段として開腹手術を行いました。この手術により卵管の周囲にくっついて卵子が卵管を通るのを妨げていた病変を剥がし、卵子が卵管を通れるようにしました。手術の後もさらにチョコレートのう胞への穿刺は行わなければならないほどのしつこい子宮内膜症でした」(可世木先生)。
これほど重症な子宮内膜症だと、卵巣ごと取ってしまうケースも珍しくありません。しかし、可世木先生は、妊娠・出産を望む患者さんの気持ちに応えるため、それをせずに粘り強く治療を続けたそうです。
「その結果、その患者さんは体外受精でめでたく妊娠され、無事に出産されました。漢方薬を含めた薬物療法、手術療法、ホルモン療法とさまざまな手を統合的に使って治療した患者さんでした。苦労した分、赤ちゃんができて本当にうれしいケースでしたね」(可世木先生)。

待合室の壁には、可世木先生が医療相談に応えた新聞記事の切り抜きや、患者さんへお知らせなどがたくさん貼ってあります。そのなかには、可世木先生の似顔絵も。プロの漫画家の患者さんが描かれたものだそうですが、先生の優しい人柄が伝わってきます。

「今、当院には子宮内膜症の治療を受ける若い独身女性も多いのですが、そうした方が結婚され、なかなか赤ちゃんできずにいたのを治療して妊娠・出産をされるとうれしいですね。彼女たちは、私にとって『内膜症の卒業生』です」と、卒業生を送り出すうれしさを語ってくださいました。

先のエピソードの患者さんは、出産した後も可世木先生のところへ通われているそうです。「妊娠・出産前ほどではありませんが、まだ子宮内膜症を卒業しきれていません。ですが今は、先ほどもお話したように新しい治療薬が出てきましたので、それを使って治療をしています」(可世木先生)。

次は【Q&A、先生からのメッセージ】

可世木病院のここが自慢

日本で3例目となる体外受精を成功させるなど、不妊治療に定評と実績のある可世木病院は、院内には専用のラボ室(研究室)があり、不妊治療のための設備も充実しています。

例えば、体外受精や取り出した精子と卵子を顕微鏡下で受精させる顕微授精(写真)は、年間で400例以上も行われているそうで、「赤ちゃんが欲しい」という患者さんの願いに応えています。

この画面の上へ