HOME > ドクターインタビュー > 宮﨑クリニック 宮﨑千恵子先生

ドクターへの質問

Q. どの程度の生理痛であれば治療を受けた方がいいですか?

A.病院で治療を受けるかどうかは別にして、生理痛(月経痛)があったら、何歳であっても一度婦人科で検査を受けた方がいいと思います。10代の子宮内膜症も珍しくありません。生理痛の原因となる病気がないかどうか調べておくことは、とても大切です。性交経験がない方でも腹部超音波で検査することができます。幸い子宮内膜症などの病気がなくても、患者さんには「日常生活に支障のでる生理痛はガマンせずにまず市販の痛み止めを飲んでみてね。どうしても痛み止めが効かなかったら、またここに来てね」と言っています。


Q. 生理中に赤黒い血のかたまりが出るのですが、友達はそんな事はないといいます。病院に行った方が良いでしょうか?

A.月経血というのは血液だけではなくて、それ以外に子宮から剥がれ落ちた内膜という組織や分泌物も混じっていて、血液成分は半分くらいだといわれています。月経血に混じった子宮内膜は血液を固めないようにする物質を出しています。そのため、通常の量の月経血なら固まることはありませんが、血液成分が多くなると、身体のほかの部分から出血した血液と同じように時間がたつと固まってしまいます。それが、皆さんが目にする「かたまり」なのです。ですから「かたまり」=病気ではなくて、「かたまり」=「月経(生理)の量が多い」=「病気が潜んでいるかもしれない」ということです。もちろん何もないこともあります。何も病気がなくて、1〜2日目に少しかたまりが出るくらいなら、心配しなくて大丈夫です。
あと「血の色」を気にされる方も多いようですね。血液は新しいものは赤く、時間がたつにつれて茶色から黒に変わっていきます。出血の量が多いと、子宮から出た血液は膣を早く通って皆さんの目に触れるので真っ赤ですが、量が少なくなってくると、子宮や膣内に停滞する時間が長くなるため茶色や黒に変化します。ただし、いつも出血が茶色っぽく、不規則でだらだら続くようなときは受診して検査を受けてください。


Q. 痛み止めを飲むタイミングを教えてください。痛くなってから? 痛みだす前?

A.生理痛の原因は、子宮内膜から作られるプロスタグランディンが子宮の筋肉を収縮させるためといわれています。痛み止めは、このプロスタグランディンが作られることを阻害することによって効果を現します。ですから、生理痛が始まってから服用するよりも、生理が起こりそうになったところで服用しておくほうが、プロスタグランディンの産生を早い段階で抑制することができるため、より有効です。生理前から痛い人、生理開始と同時に激痛が来る人、2日目がピークという人など、生理痛は個人差がありますので、「予感したら飲む」ようにしてください。
診察のなかで、「生理痛は強いけど、痛み止めは体に悪いからなるべく飲まずにガマンしている」という方が驚くほど多いと感じています。私は休診日に小中高生を対象に思春期講座を行っているのですが、そこで月経のしくみを伝えるときには、「痛み止めが体に悪いということはないよ。生理痛はガマンしてはだめ。市販の痛み止めは病院のものより弱い薬だから、まず試してね。お母さんにも教えてあげてね」と必ず話すようにしています。

宮﨑先生からのメッセージ

女性にとってどうしても敷居が高い婦人科ですが、定期的に検診を受けていれば病気の早期発見につながります。症状がない人でも、何も異常がないことを確認するために、定期検診は受けてほしいと思っています。そして、生理痛があるならそのままにはしておかないでください。生理痛は、「ないことが当たり前」です。
現代の女性は、一生のうちに450〜500回の生理があるといわれています。一回の生理で痛みに苦しむ日を3日間とすると、一生で合計1500日つまり丸4年間以上苦しむ計算になります。それだけ通常の生活を送れない日があるのは、本当にもったいないことです。入学試験や仕事などの大切なイベントと生理痛が重なって本来の力を発揮できなければ、悔やんでも悔やみきれない事態にもなりかねません。生理痛はコントロールできます。あなたの大切な時間を無駄にしないでください。

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